末期ソ連空挺装備品 ④分隊長用装具

 

末期空挺装備品レビュー4回目 

分隊長用装具について

 

 

軍曹用バッグ、双眼鏡、無線受信機

 

 

B-8双眼鏡

8倍率の双眼鏡で他にもB-6、B-12(それぞれ6倍、12倍)と夜間戦闘用の赤外線双眼鏡BI-8などがある

 

搭載されたレティクルで対象物までの距離を測ることも可能

偵察任務などでは目印となる地形や植物、構造物までの距離を測定し、目印の距離とイラストが描かれたスケッチ(Схема ориентиров)を作成するらしい

 

 フランネル製ナプキン メンテナンス時のレンズ拭き

 

 オレンジ光学フィルター 以下のような環境下ではフィルターの使用が推奨される

  逆光、積雪がある中での強い日差し、霧や靄がかかった天候、長距離での観察

 

双眼鏡ケース内側の付属品リストを見ると予備のアイカップも付属するらしいが欠品

 

分隊長の装具として必須ではないと思うが任務によっては携帯すると思われる

89年の空挺軍曹教本に説明がある他、ちょっと古いが75年の空挺軍曹教本には装備一例として載っている

 

 

R255PP無線受信機

古いものだとR254、R254Mなどのモデルもあり

 

主に空中投下した車両や物資などを捜索するのに使用される

空中投下した車両に取り付けられているR255MP送信機などから発せられる信号を受信し、受信方向を音で知らせ投下地点が分かる仕組みらしい

 

アフガン侵攻では受信方向が分かる特性を生かして敵砲兵観測員の使用する無線を傍受し敵の方向を探ったり、送信側無線機のPTTを押す長さを調整して部隊間でモールス信号のような合図を決めて、受信する音の長さで連絡を行ったらしい

 

85年の空挺戦術本だと分隊長、分隊車両運転手、分隊車両砲手が無線受信機を持つ例が紹介されている

 

分隊、小隊間での連絡用にR-148、R-158無線機などを携行する場合もありそう

こちらも追々入手したい所である

 

 

軍曹用バッグ

画像のは87年製で前面フラップなどが縫製で留められているが同時期の製品でもフラップがハトメ留めの個体、フラップの長さが短い個体など様々

 

正式名称はソ連軍軍曹および海軍軍曹用野戦バッグらしいが軍曹階級者が持つというより分隊長などの指揮職用の野戦バッグという方が実情に合っている気がする(軍曹でも別の役職に就けば持たない

 

前面に鉛筆などを収納できるポケットあり

この辺の文房具は海外雑貨愛好家の方が出品していたりするので国内で探すと意外とあるかも

 


軍曹用バッグの中身 

信頼できる情報源があったわけではないので不備などあるかも



鉛筆、色鉛筆 

黒鉛筆は予備も含め2本以上あると良さそう
ソ連時代でもマーカーやペンを使っていた人もいるらしい

 

消しゴム

自分世代にはあまり馴染みのない砂消しゴム 慣れないと紙が破ける

 

将校定規

将校と名にあるが後述する射撃カードなどを描くために必要

これで射撃カードを書いているとお子様ランチのオマケでついてきたおもしろ定規で絵を描いていた小学生時代を思い出す...

 

ノート

メモや分隊員のリストなどを記載すると思われる

ノートにもГОСТ13309-79やら12063-75など規格がありページ数や大きさなどが規格されている

 

ナイフ

鉛筆を削るときなどに必要

画像のは医療用ナイフだがその他ナイフでもいいかも

 

KSF-1携帯信号灯

赤や緑のフィルターが装備されており光の色によって夜間の行動指揮を執ることができる

手信号や信号弾、手旗信号、トレーサー弾、笛などを活用して部隊指揮を執る場合もあるらしい

 

射撃カード

防衛戦闘時の目印や目印までの距離、敵、味方の位置、射撃目標などが描かれたカード

見よう見まねで描いたので間違っているかもしれない

 

89年の空挺軍曹教本、85年の空挺戦術本にカードの記載方法が描かれている他、空挺部隊の戦闘規則本にはカードで使用される略語や記号の詳細な説明が図付きで載っているので分かりやすい

90年のドキュメンタリー映画、空挺小隊の防衛にて分隊長が射撃カードを記載している映像がある

 

 

 

第1回目の記事から考えると回を重ねるごとに文章量が多くなってしまった

最後になるが今回の装備の想定年は1990年あたり

またパラシュート関連品やRPG関連品などが集まれば5,6回目と書いていきたい

それでは長々とお付き合いいただきありがとうございました

 

 

 

УЧЕБНИК СЕРЖАНТА ВОЗДУШНО-ДЕСАНТНЫХ ВОЙСК 1989

УЧЕБНИК СЕРЖАНТА ВОЗДУШНО-ДЕСАНТНЫХ ВОЙСК 1975

ТАКТИКА ПОДРАЗДЕЛЕНИЙ ВОЗДУШНО-ДЕСАНТНЫХ ВОЙСК 1985

Прыжки с парашютом из военно транспортных самолетов 1964

Боевой устав воздушно-десантных войск. Часть III. Взвод отделение

Приложение к приказу командующего ВДВ Љ91 от 5 сентября 1972

Парашютно-десантный взвод в обороне 1990

Обучение подразделений воздушно-десантных войск боевым действиям в горах 1984

Soviet Military Showcase for UK Defence Secretary 1989

 

 

 

末期ソ連空挺装備品 ③医療品、防護服など

 

末期空挺装備品レビュー3回目

今回は医療品や防護服などについて

 

マニアックな内容なので読む人を選びそうな記事になってしまった...

当方薬品や医療の知識があるわけではないので、間違いなどあればご容赦を

 

 

個人空挺医療キットとAI-1

 

 

個人空挺医療キット
 ゴム止血帯 1個
 個人包帯パック 2個
 ハラゾン 20錠 水の消毒用 入手できなかったため画像には無し
 亜硝酸アミル 2アンプル シアンによる呼吸困難対処用 空のアンプルで代用(左下の紙の上)

 

つい最近まで右上のポーチが個人空挺医療キットに当たるか不明だったが、89年の空挺軍曹教本に記述されている内容物がピッタリ入るのでこのポーチだと思われる

 

72年の空挺部隊司令官命令91号に携行品として記述されているが、85年の空挺戦術本だと医療キットではなく個人包帯パック1つのみの携行が例として載っている

 

今回紹介する装備品すべてに言えることだが、様々な装備品の中から任務の必要性に応じて司令官が装備品を決定し携行するもので、必ずしもこれを持っていないとというものは限られると思われる

 


AI-1(個人応急処置キット) 

赤いキャップの注射器は有機リン系有毒物質(VX、サリン、ソマン)の解毒用

白いキャップは痛みを軽減するための鎮痛用

左から2番目の空いているスロットは予備用

 

白キャップの注射器も赤キャップと同じく、上に透明な薬品が入る部分が付いているはずだが入手できず 

 

 

防護装備 防護服やガスマスクなど

 

 

まずは小物から

 

IDPS-69セット

サリン、ソマンなどの除染に使用 武器除染用のIDP-1 10本、服除染用のDPS-1 10袋から構成される

個人ではなく分隊に支給されるものらしい

 

 IDP-1 左上の緑色のやつ 上のキャップを外すとブラシ状になっており、武器に擦り付けて除染する

 DPS-1 右上の白いやつ 服にパウダーを隙間なく擦り込み除染する

 

 

続いて放射線測定器関係

 

ID-11 個人線量計 ズボンの隠しポケットに携行する

ID-1 軍用線量計 分隊長はこちらも持つらしい

 

今回の装備的に放射線量記録カードも手に入れたがったが入手できず

本国だと100円もせずに売っているので追々入手したいところ...

 

 

OZK諸兵科保護キット 

 保護コート 

 コートカバー 背中に背負うキャリングケースにもなる

 ストッキング、手袋カバー 画像のはバックルタイプだがボタンタイプもあり

 保護ストッキング 右の黒いやつ 画像のは76年製だが後年になると緑色のタイプもあり

 保護手袋 冬用もあるがこちらは夏用

 

想像の部分が大きいが、この辺の防護衣は分隊車両などに乗せておいて、いざという時携行する気もする(RD54に入れる、ベルトにつけるなどして携行できないこともないが...

 

演習などを見てもなかなかここまで大量の装備を携行している例を見ることはないが、西側との全面戦争の場合は核や生物、化学兵器の使用も想定されるであろうし、どのように携行するのか気になるところではある

 

OKZK-DやKZSなどその他防護装備品も任務によっては装備すると思われる

空挺ブタンが出てからもKZSが支給されていると考えると、ブタンの上からKZSを着るという激アツ展開もありそうで是非見てみたいものである

 

 

PMG-2キット

 Gタイプガスマスクバッグ 年代で留め具や抗化学パッケージを入れるポーチの大きさなど様々

 ガスマスク
 フィルター

 フィルターカバー 塵や雪などがフィルターに入るのを防ぐ
 各種フィルム 入手できず

 

IPP-8個人抗化学パッケージ 有毒物質に触れてしまった皮膚の応急処置などに使用

 

ガスマスクキットについては民間用のGP-5Mキットを流用して集めたため、不十分な点が多い 

特にマスクとフィルターも軍用と民間用で違うようなので、機会があれば手に入れたい

 

 

 

次回は分隊長用装具について

 

 

 

末期ソ連空挺装備品 ②武器類+RD54

 

引き続き末期空挺装備品レビュー

 

今回は武器類とRD54バックパックについて

 

 

銃と付属品

 

AKS74 
83年からプラムハンドガードのモノも生産されているので末期だとそちらでも

 

6Kh4銃剣 

 

 

4室マガジンポーチ 支給されるときは下記付属品を含んだ状態で受領すると思われる
 マガジン4本 
 クリップ4本 1本で15発装填可能
 ローダー
 オイルボトル
 クリーニングキット

 

 

RPG-22

RPG-18、26、RKG-3などでもいいかも

 

区分としてはロケット推進対戦車擲弾らしい

RPG-7RPG-16などは携帯対戦車擲弾 RPG射手が持つのはこちら

 

85年の空挺戦術本だと機関銃手、RPG射手、RPG補佐以外の人員がロケット推進式対戦車擲弾を持つ例が紹介されている

 

 

RD54バックパックとスコップ

 

RD54

コートやパラトカを外側の紐を使って取り付け可能

できればもっとキツく縛着した方が良いかも 末端処理も

 

今回内容物を色々入れてみたが意外に入る印象

 

空挺降下時はバックパックの上カバーが腰ベルトの高さになるように下げて装着する

街中を歩いているとリュックをかなり下げて背負っている人がいるが、空挺降下に憧れてやっているのかもしれない?

 

 

RD54各ポーチ

 

マガジン2本 マガジン底部を上にして、RD54を装着したときに湾曲した側をスコップ方向に向けて収納する(分かりづらい

AKMSマガジンでいうところの補強リブが付いた側をスコップ方向へ向ける

 

榴弾2個 信管は手榴弾ポーチ中央の大きい仕切りに入れる 小さい仕切りはRKG3などの対戦車手榴弾の信管用

 攻撃型手榴弾RGD-5 RG42でもいいかも
 防御型手榴弾F-1

 

攻撃型は爆発範囲が狭く、あらゆる状況下で使用可能
防御型は爆発範囲が広く、主に障害物などに身を隠した状況で使用される

 

スコップ 空挺降下時は柄を上にして取り付ける 戦闘時は下

収納するときはスコップのへこんでいる側を装着者の背中に向けて入れる

 

余談になるが、手榴弾ポーチのボタンが取れかかっているので補修した方がいい

60年代製だと緑色のしっかりとした糸で縫製されているが、70年代からは黄土色のすぐほつれるクソザコ糸で縫製されているのでボタンが取れやすい

 

89年の空挺軍曹教本によると制服のボタンのゆるみは許されないらしいので、RD54は制服ではないがボタンをなくさないためにも定期的に補修した方がいい気がする

 


パラトカとRD54右側サイドポケットの中身

 

右側ポケットは役職に応じて入れるものが変わる RPG射手はRPG弾頭、工兵は爆薬など

RKG-3などの手投げ式対戦車手榴弾を入れる場合もここに

サイドポケット内側には小さなポーチが付いているが、対戦車手榴弾の信管用らしい?

今回はRPG-22を持っているのでナシで

 

メスキット、化学防護具などその他バックに入らない物品も収納可能

 

パラトカ付属品

正直実物か不明 教本だと木のペグは1本で金属のペグをもう1本持つらしい 

今回は右側ポケットに収納したが、メインコンパートメントに収納する気もする

携行方法など細かい点が不明なので分かり次第追記する

 

爆薬200g2個 赤いやつ 85年空挺戦術本の装備一例に載ってたので収納

 

武器付属品 前述したクリーニングキットなど 右ポケットに限らず空いた場所に収納する

 

 

RD54メインコンパートメント

かなりパツパツ

 

 

RD54メインコンパートメント中身

 

弾薬450発(30発パックx15) 本来は支給された450発のうちマガジン4本にフル装填(120発)し、残りの330発をRD54に収納する気がする

 

空挺メスキット 入らなければベルトにつけてもいい

食料 左上の白い箱 これを入れるだけで容量の半分が埋まってしまう

洗面用具 左の茶色い袋 

タオル ワッフル生地のやつ

爆薬信管 爆薬とは別途収納することが望ましい 85年空挺戦術本の装備一例に載っていたので収納したが、本来工兵がケースに入れて携行するものだと思うので収納方法に疑問が残る

 

RD54に装備品を詰めるときはメイン部分、右ポケット、マガジン/手榴弾ポーチ、シャベルポーチの順で入れていく

左ポケットは本来AKMSやRPKSなどの銃を収納するために空けておくが、末期だと銃は胸の前に抱えて降下している例がよく見られる

その為左ポケットにも入らない物品を収納可能と思われる

 

メイン部分を詰めるときは底に食料、次にメスキット、弾薬、化学防護具、タオル、石鹸、スプーンを詰める

今回は化学防護具を入れるスペースがないのでナシ

 

 

食料とメスキット


82年制定空挺降下時用レーション 3食分セット 

末期想定でこちらを選択したが、基本的にはエタロン2レーションでいい気がする

 

内容物
 ビスケット 100g x3
 肉の缶詰 100g x2
 テリーヌ 500g
 コンデンスミルク 125g
 砂糖 15g x9
 お茶 2パック
 固形燃料 30g
 缶切り 1個

 

特殊部隊向けや山岳部隊向けなどのレーションを見ても、規定されたメニューと実際のメニューとで結構ズレがあるっぽいので内容物は変化するかも

 

メスキット 水筒とセットになったやつ 最近はキャンパーに人気らしい?


スプーン RD54メイン部分に入れても良い メスキットポーチにも入る

 

 

洗面用具 予想の部分が多いので間違ってる可能性あり


 石鹸
 歯ブラシ
 歯磨き粉
 新聞紙 トイレットペーパー代わりに入れたが携行するか不明

 

髭剃り、髭剃りブラシ、髭剃りペースト、鏡なども持つかもしれない

こちらもわかり次第追記したいと思う

 

 

 

次回は医療品関係などについて

 

 

末期ソ連空挺装備品 ①衣類

 

 

ソ連末期の空挺装備品が集まってきたのでまとめつつレビュー

 

装備品は任務や地形、時期によっても変わってくるので、一例としてどうぞ

 

 

まずは下着から


タンクトップ 空挺青ボーダー 画像のは95年製なのでソ連製が欲しい
トランクス 白黒青などのタイプがあるが、よく見かける気がするので青色で

 

 

空挺ブタンジャケット

 

分隊長想定なので軍曹階級

戦時想定でODベルトにしたが演習とかなら金ベルトのがいいかも

 

 

ジャケット携行品

 

包帯や止血帯を入れる場合もありそう
分隊長、RPG射手、分隊車両運転手などは拳銃を携行する場合もあり。
その時はジャケット内側のホルスターに収納可能

 

 

空挺ブタンパンツ

ドックタグ、ID-11放射線測定器を隠しポケットに収納
マガジン2本をズボンポケットに収納(銃に1本差す場合は1本)

AKMSからAKS74になって支給マガジンが3→4本に増えたので、
銃に1本、RD54マグポに2本入れても全部収納できなくなった故に追加されたであろうポケット

ぶっちゃけ使いづらい...

 

 

持ち物詳細

 

ハンカチ 持ってないと怒られが発生する
クシ こちらも持ってないとダメっぽいが部隊によって異なるかも
軍事手帳 同上
その他手帳など 同上
ドックタグ
時計
コンパス
タバコ (吸う人は
マッチ 爆薬の起爆に必要

 

 

空挺サパギとポルチャンキ


末期でもサイド編み上げタイプじゃない普通のサパギを使ってる人もいたっぽいので、そちらでもいいかも

 

 

ブタン帽子 針と糸が付いてないと怒られが発生する

 

空挺降下帽子 空挺降下時に必要 パラシュートも追々集めたい...(叶わぬ夢

 

ベレー 89年以降は通常時もペナントを縫い付けるらしい

 

 

今回は衣類のみなのでここまで